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話題の書籍を紹介!

Googleのエバンジェリストが教える
Webサイトの最適化メソッドが一冊に凝縮!


 Webビジネスに関わる方の必読書籍『Webアナリスト養成講座』が7月7日に発売となりました! 本書は「Web Analytics」を顧客満足度と利益に結びつく戦略として定義し、ツールの選び方、データの扱い方(テストや分析方法)、それらのデータで意思決定ができる組織作りなどを、Googleのエバンジェリストがまとめた一冊となります。この記事では本書の一部を特別に転載します!(購入はこちらからどうぞ)。

旧来のWeb analyticsは死んだ

 2006年3月のPodcastのプログラムで、私は「旧来のWeb analyticsは死んだ」という宣言をした。この発表はもう2年早めてもよかったかもしれない。

 Web analyticsはWebサーバのログデータから始まったため、基本的にはビジネス情報ではなく、技術情報をベースにしている。この独特の進化過程のせいで、現在のWeb analyticsツールと顧客の考え方の多くは、ページ遷移分析に根差している。次の図ではWeb analyticsが典型的にどのように見えるかを示してみた。

 Web analyticsツールの操作に慣れさえすれば、すぐにでも大量のデータ、指標、KPIやその他のものへアクセスできる。これらのデータに基づいた報告に関しては、プロもいるし、ベンダーもいるし、何よりもしっかりと確立した作業方法と思考方法がある。

 では、この旧来のWeb analyticsの世界はどのように見えているだろうか? もしこれを読んでいる方が、以下の指標のどれかを測定しているなら、この旧来の世界の住人である可能性がある。

旧来重視されていた指標

ページビュー(PV)

 eコマースサイト(や他のサイト)を運営する場合、訪問者1人あたりのページビューが増えるのはいいことだろうか、悪いことだろうか? ナビゲーションの設計が悪ければ、ページビューは増えるだろうが、購入者は減るだろう。逆にナビゲーションが優れていれば、ページビューは減る。

 ただし、商品の価格が高いこともすぐに判断され、結局はサイトを去るだろう。どちらの場合に当てはまるのかは、ページビューのレポートだけを見ても判断できはしない。そもそも、ページビューを観測する際に、訪問者の理想的な行動はどういうものだろうか?

ヒット

 ネットの草創期には、ヒットはサーバに寄せられたデータ送信リクエストを表していたため、ヒットをWebページやコンテンツの要求と解釈してまったく問題なかった。ヒットの増加はコンテンツ消費の増大、すなわち訪問者の増加を意味していた。

 しかしながら、現在はヒットにほとんど意味はない。というのも、Webページにはありとあらゆる画像やメディアデータが埋め込まれているからだ。平均的なWebの1ページは、サーバに25ヒットを記録するとも言われている。だとしたら、ヒットの観測というのは、実際のところいったい何を観測しているのだろうか? サーバに要求されたデータの数? 閲覧されたページ数? Webサイトへの訪問者の数?

上位離脱ページ

 自分のWebサイトから離脱した訪問者が多いページを観測することで、いったい何がわかるだろうか? それらのページがあまり重要でないこと? 

 いやいや、その離脱ページで訪問者は自分が探していたまさにその情報を見つけたから離脱した、という可能性だってある。Amazon.comでソニーのデジカメを探している場合を考えてみてほしい。普通は、欲しいモノを見つければ、カスタマーレビューを読んで、すぐに離脱する。そのページを訪れる人の99%はきっと同じ行動を取るに違いない。離脱率を計測しても、そのページのコンテンツがいいのか悪いのかを判断することはできないのだ。

エンゲージメント

 同様のことがエンゲージメントについても言える。エンゲージメントは1人の訪問者(ユニークビジター)による複数回のセッションとして計測されるが、仮に、多くの人があなたのWebサイトを何度も訪れて、何回ものセッションを記録しているとしよう。その理由は、何度来ても探し物が見つからないからなのか、世界最高の美しいサイトにある完璧なコンテンツを何度も見に来るためなのか、判断できるだろうか?

訪問者の画面解像度

 訪問者の画面解像度は、いかなるシナリオに対してもほとんど意味のない、悩ましい指標の最たるものだ。おおよそどんなWeb analyticsツールにも、Webサイト訪問者のモニター画面解像度のレポート機能が備わっていて、日計レポートに掲載されているが、数ヵ月にわたって計測していてもほとんど変化することはない。

 にもかかわらずレポートを見続けるのは退屈だし時間の無駄だ。それならいっそ、Forrester ResearchやGartnerが発表している調査を読んで自分の業界の最新傾向を把握し、自社のWebサイトの最適画面解像度をどれぐらいにすればいいか考えるという方法で十分ではないだろうか?

これらの指標に意味はない

 これらの指標に共通して言えるのは、何か意味のあることを示しているように見えて、実のところたいした意味はないということだ。それどころか、多くの場合、積極的に間違った道に迷い込ませさえする。

 その道の先には、多額の予算を使ってツールやレポートを購入した挙句、ROIには見るべき成果もなく、Webサイトのカスタマー・エクスペリエンスも改善しないという最悪の結果が待ち構えている。何年もの間、根本的にデータを理解できず、適切な行動を取ることもできずにイライラし続けてきた結果、旧来のWeb analytics世界の終焉という形に帰着する。

 我々はあらゆる努力をしたにもかかわらず、結局のところ、行動に結びつけることができなかったため、企業にもその顧客にもソリューションをもたらすことができなかったのである。

 Googleのエバンジェリストが教えるWebサイトの最適化メソッドが満載の本書は、AmazonSEshopなどでご購入をいただけます!

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この記事の著者

Avinash Kaushik(アビナッシュ・コーシック)

GoogleのAnalyticsエバンジェリストをも務めるフリーのコンサルタント。以前はIntuitのWebリサーチ&Analyticsディレクターとして、Analyticプラットフォームのビジネス、技術、戦略分野の責任者を務め、70以上のIntuitのWebサイトをサポートしてきた。また、EmetricsサミットやAd-Techのカンファレンスでたびたび講演者として招かれ、米国ではWeb分析の第...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2009/07/07 21:45 https://markezine.jp/article/detail/7745

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