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採用ターゲットを振り向かせる「早期接触&継続アプローチ」のススメ

2019/09/17 08:00

 「採用をマーケティングでハックせよ」をテーマにお送りする本連載。これまでの連載では、リクルートメント・マーケティングの全体像を概説してきました。第3回となる本稿では、採用のマーケティング化を決定的なものにしている「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」について概念理解を深めていくとともに、ウォンテッドリーでの自社採用事例も交えて解説していきます。

目次

情報発信なくして候補者接点は生まれない:採用におけるリードジェネレーションの重要性

 連載第1回第2回でお伝えしてきた通り、リクルートメント・マーケティングは、候補者視点に立った中長期的な採用戦略を構築するためのフレームワークです。まずは、長期プロセスの始まりであるリードジェネレーションから解説していきます。

 前回の記事で定義した通り、採用におけるリードジェネレーションは「見込み候補者からの認知獲得」と位置付けることができます。では、なぜ従来通り選考エントリーや説明会エントリーを待つだけではダメで、候補者を振り向かせるための主体的な働きかけが必要なのでしょうか。そこには「候補者は知らない企業にエントリーすることはできない」というシンプル極まりない理由があります。

デジタル環境下の求職活動

 デジタルデバイスが日常生活の中に浸透し、個人が情報にアクセスする手段が無制限に広がっている今、個人のキャリア選択においても、求人票や採用広告、ナビサイトに掲載されている情報だけではなく、口コミサイトや企業ブログ、社員のSNS等を通じてより広範な情報を集め、自らが納得できる企業にエントリーする時代になっています。

 さらには転職も「当たり前」のこととして経験されるようになったことで、個人は転職意欲のあるなしに関わらず、日常的に接する企業情報を自身の将来のキャリアと半ば無意識的に関連づけるようにもなりました。その結果、転職に向けて具体的な行動に移る頃には「次の行き先」としてめぼしい企業が2、 3社ほど脳裏にリストアップされていることも少なくありません。

 このように情報環境の変化によって求職者の行動・思考パターンにも変化が起こったことで、企業の採用活動は今後どう変わっていくのでしょうか?

 ひとつ確実に言えることは、「見込み候補者へのアプローチタイミングの早期化」を通じて従来の「待ち」の採用スタイルから脱却を図る企業が増えるということ。つまり、オンラインを中心に積極的な情報発信をすることで見込み候補者とのタッチポイントを設計し、エントリー以前に自社に好意的な印象を抱いてもらえるようなコミュニケーションを図る必要が生じてくるのです。

採用コミュニケーションにおける事前戦略作り

 見込み候補者に自社への好意的な認知を形成してもらうためには、施策レベルではなく、採用の全行程を意識したコミュニケーション設計が欠かせません。つまり、「リードジェネレーションを始めるために社員インタビューを制作しよう」という意思決定だけではこと足らず、「この企業の正しい姿は何か」を明確にし、「それを伝えるためにはどのようなコミュニケーションが必要とされるか」を考えた上で、各コンテンツのストーリーラインに落とし込むことが重要です。

 たとえばウォンテッドリーの自社採用では、自社の運営するビジネスSNS「Wantedly Visit」のフィード機能を通じて採用広報コンテンツを公開しています。その前段階として、採用コミュニケーションの「核」となるようなコンセプト作りを行いました。これは採用広報だけでなく、本選考プロセスでの候補者とのやり取りや、入社後の社内コミュニケーションに至るまで、「対象にどんな企業イメージを想起させるのか」を定義することを目的としています。

 コアコンセプトの設計における狙いは2つあります。1つは応募の質の向上によりマッチ率を高めること。もう1つは、企業を構成する様々な要素をコアコンセプトと紐づけて伝えることによりミスコミュニケーションを防ぐことです。採用におけるミスコミュニケーションは、たとえば「社員はいい人ばかりだったのだが、事業の方向性に共感できる要素が足りなかった」というような内定辞退の理由となって表れますが、コアコンセプトと紐づけて自社のあり方を立体的に見せることで、こうした事態を防ぐことにもつながります。

リードジェネレーションの目標設計

 2019年になってからというものオウンドメディアの相次ぐ閉鎖が話題となっていますが、採用におけるリードジェネレーションでも、「短期的な成果を求め過ぎてコンテンツへの投資ができない」「コンテンツ制作に手をつけたのはいいが次第に士気が下がって継続できない」「成果を測る指標が曖昧」等のトラブルが起きがちです。

 こうした状況を回避するためには、確固たる目的を定めることはもちろん、専任者を置くことによる継続可能な体制構築や、中長期的な投資対効果を追うための効果検証のモデルが必要です。とは言えど、リードジェネレーションの進捗をどのように計測するかについては、HR全体を見渡してみても2019年時点では正解が定まっているとは到底言えない状況にあります。しかし、各種プレーヤーがこぞって参入してきている領域でもあるため、これからベストプラクティスが生まれてくることは想像に難くありません。

 ウォンテッドリーの自社採用におけるリードジェネレーションの実例についてご紹介すると、後工程(ナーチャリング/本選考)とのつなぎこみを意識した目標設計になっており、カジュアル面談やミートアップにエントリーした候補者の質の推移を追うことで、採用広報活動の効果検証を進めています。

 具体的には、初回接触時に自社へのカルチャーマッチ度や共感度が高いかどうかが判断軸になり、まだ仮説検証の段階ではあるものの自社の評価基準で上位に分類される候補者の絶対数は確実に底上げされているため、コンテンツ制作体制を構築したことによって採用活動にプラスの効果が出てきていることは確かです。また、嬉しい副次効果としてカジュアル面談から本選考への移行率も上昇しているため、短期的にも効果が現れ始めていると言えそうです。  

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