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「顧客一人ひとりを理解し、LTVを追求することで施策のアイディアは生まれる」サイタが進める広告運用

 カメラや英会話などのレッスンを見つけられるCtoCサービス「サイタ」を運営するコーチ・ユナイテッド。同社はLTVを軸に集客を目的とした広告を運用し、CV向上等の成果を上げている。一般に広告運用の最適化はやりつくした感があるが、取締役の福﨑康平氏は「顧客一人ひとりが、どの時間にどのような行動をとったかに意識を向けることで、正しい広告費用の投下と、効果的な施策が行なえる」と語る。同社の詳しい取組みを伺った。

先生と生徒を結ぶプラットフォーム

MarkeZine編集部(以下MZ):コーチ・ユナイテッドさんは、自社サービス「サイタ」においてLTVを軸とした広告運用で高い成果を上げられているとのことですね。今回はその考え方と具体的な施策をうかがいたいと思います。まずは「サイタ」のサービス内容を教えていただけますか?

コーチ・ユナイテッド株式会社 取締役 福﨑康平氏
コーチ・ユナイテッド株式会社 取締役 福﨑康平氏

福﨑氏:「サイタ」は、英会話や楽器といった習い事の先生と生徒を結ぶ、CtoCのプラットフォームです。先生の採用から育成まで当社が一貫して行い、現在300ほどのジャンルで全国の優秀な先生と契約しています。

 2007年の創業時から個人レッスンのマンツーマン事業を展開していますが、この1~2年で会員数が4倍ほどに伸びて順調なことから、昨年に新規事業としてグループレッスンを始めました。私はマーケティングを含めて事業開発全般を見ていて、現在は生徒の集客と先生の採用、新規事業のグループレッスンに注力しています。

MZ:マーケティング戦略における広告の位置づけをうかがえますか?

福﨑氏:当社では、主に広告費を「新しいことに取り組む際の検証」と「収益拡大」のどちらかの目的で使っています。前者では、例えば新しいレッスンジャンルを開拓する際に、リスティング広告で1か月ほど出稿して、新しいサービスとして見込みがあるかを判断しています。後者では、LTVを軸にして、広告投資の最適化をしています。

LTVで、より収益が見込めるジャンルを見極める

MZ:なぜ、LTVを軸にした広告運用を行っているのですか?

福﨑氏:習い事は一般向けサービスの中でもかなり特殊です。当社でも3歳から最高齢で91歳までの顧客がいます。ジャンルによって性別や年齢に大きくばらつきがあり、収益も10倍程度の開きがあります。

サイタでは300以上のレッスンがあり、利用者層も収益も異なる
サイタでは300以上のレッスンがあり、利用者層も収益も異なる

 事業としては当然、新規会員が多く、かつ会員が長く続けてくれるジャンルを伸ばしたい。ですから、新規会員の獲得が少なく、会員の継続が続かないジャンルを見極めて、新陳代謝を図る必要があります。そこで、ジャンルや世代ごとにLTVを把握して、なるべくLTVの高い顧客を獲得できる広告を重視しているわけです。

MZ:なるほど。LTV以外で見ている指標はありますか? また、それらの指標をどのように把握しているのでしょうか。

福﨑氏:効果測定ツールの「ウェブアンテナ」を導入して、広告やメルマガといったすべての集客手段を一元管理し、さらに当社のデータベースとつないで、顧客IDを統合管理しています。これによって、顧客一人ひとりの流入経路とステータスをすべて追っています。具体的には、キーワードベースで入会率や継続率の関係をチェックし、どの流入経路が有効か判断をしています。

 LTV以外の指標はCV数や入会率、それからジャンルごとに先生の数と申し込み数のバランスも見ています。これらが一定基準に達しているジャンルをゴールド、次の水準をシルバー、それ以下をフューチャーという3ランクに分けて、上2つのランクを増やす方針で施策を行っています。

キーワードの取捨選択により、CPAは3分の2、CVは7倍に

MZ:これまでの広告運用で、数値的にはどのような成果が得られましたか?

福﨑氏:数値を具体的に挙げると、CPAは3分の2に、CVは約7倍になりました。2014年の秋に効果測定ツール「ウェブアンテナ」を導入して以来、1年ほど運用を続けて得た成果です。体験レッスンへの申し込みが、以前は多くて月間100件、少ないと30件程度のときもあったのですが、今は平均600~700件を獲得しています。もちろん会員数も、これらに比例して伸びている状況です。

MZ:それは、目に見える成果ですね。キーワードの成果の比較ができるようになったことの影響も大きいですか?

福﨑氏:そう思います。キーワードの取捨選択がしっかりできるようになったので、広告費をかけるべきところにはかけてリターンを得るという、最適な使い方ができるようになりました。結果的にCPAは下がり、売上と利益もついてきています。

 当社もウェブアンテナを導入する前の広告運用は、初回レッスンで回収できるCPAを指標にして広告費を削減するか、あるいはむやみに広告費を多くかけてしまうかのどちらかになっていました。広告代理店に運用を任せていたこともあり、社内に知見もなかったんです。ウェブアンテナは管理画面が非常に使いやすかったので、導入を機に代理店への委託も止めて、社内で運用するようにしました。

ノウハウを新規のグループレッスン事業へ展開

MZ:広告費をやみくもに圧縮するのではなく、コストメリットがある形でPDCAを回せるようになったのですね。

福﨑氏:そうですね。今ではジャンルごとに、利益に対する広告費のパーセンテージを決めて、CPAの許容範囲を見据えています。CPAさえ合えば、どんどん広告費を使っていこうという考えが強くなりましたね。

 お客様の傾向を見ていると、入会を即決するかたは少ないです。複数の広告を経て検討をしたり、何度か体験入学をしたりされて入会を決められます。以前は流入口ごとに管理をしていたので、一人のユーザーでもFacebookやリスティングによってCVは別々にカウントしていました。ですからCVが増えているように見えます。しかし、実際はCVの重複による過剰投資が発生していたのです。これが、ウェブアンテナを導入して一元管理を行うようになってから解消されました。現在は、本来のCPAが分かるので「正しく広告費を使う」ことができるようになったと思います。

 また、ウェブアンテナの運用を通じた広告運用によって、お客様一人ひとりの行動をしっかりと見るようになりました。これは、新規事業のグループレッスンを進めるうえで非常に役立っています。

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「誰がいつ、どんな行動をしているか」から考える

MZ:新規事業のグループレッスンを進めるうえで、顧客一人ひとりの行動を捉えることは、具体的にどのように役立っているのでしょうか?

福﨑氏:例えば、グループレッスン事業の「サイタカメラ教室」というサービスのあり方や名付けにも反映されています。「カメラ教室」という名称は特別変わったものではありませんが、「サイタ写真教室」とすることもできたかと思います。なぜ写真教室にしなかったのかというと、両ワードのパフォーマンスを比較した場合、表層だけ見ると実はほぼ同一です。しかし、「カメラ教室」というワードからの流入の方が、継続率が圧倒的に良いのです。

 写真教室というワードから入る方は、高度な写真技術の習得を目指している方が多い傾向があります。一方、当社がこれまで提供してきたものは、趣味として日常の中で楽しめるような習い事サービスです。お客様とミスマッチが発生しないように考えると「カメラ教室」という打ち出しがベストだと判断しました。このような議論は一般的には感覚で進められがちです。しかし、当社ではお客様一人ひとりの行動を捉え、効果を確実に可視化して判断しているので、自信を持って進められています。

MZ:どういった人にどのようなサービスを提供したいか、という視点に立ってサービスの展開を考えられるのですね。

福﨑氏:そのとおりです。また、どのお客さんがどの時間に、どのような行動をとったかに意識を向けることで、行動を逆算して、広告を運用することもできます。グループレッスン事業は出席率100%、満席率100%を目指しているのですが、どの流入経路で広告に触れ、何曜日のレッスンを受講すると、出席率はどうなるのかを一人ひとりチェックしています。

 例えば、Facebook経由で申し込みをされる方は、土日のレッスンを受ける方が多いです。おそらく、ご自身で検索したわけではないので、週末にちょっと行ってみようかという気持ちで申し込まれているのでしょう。一方、検索広告では平日の昼間に受講希望される方が多い。この方々は習い事としてカメラ教室を認識されている。このような傾向がわかれば、土日の授業は人が集まりすぎているから、Facebookの広告は少し抑えて、そのぶん集客したいレッスンに向けた広告を展開する、といった施策ができるようになります。

「一人ひとりの顧客を追うこと」からアイディアが生まれる

MZ:ほかに、注力されている取り組みはありますか?

福﨑氏:直近では、申し込みフォームの改善をしました。以前は氏名やジャンル、先生など10項目くらいあったものを、氏名と電話の2項目に絞り、代わりにコールセンターを置いて、担当者がニーズを聞いて案内する仕組みに変えました。利用者が受動的な姿勢でも入りやすくしたところ、CVRが2.5倍ほどになりました。

 今は、フォームも含めて、スマートフォン中心のUIへのリニューアルを実施中です。フォームやUI変更の効果検証にも、ウェブアンテナを活用しています。

 それから、こちらも現在進行形ですが、オウンドメディアの運営を始めています。オウンドメディアで潜在顧客のリストを取得し、リマーケティング広告で顧客化へつなげる予定です。広告でCPAを小刻みにチェックすることも大切ですが、LTV全体の視点で本来ポテンシャルがあるだろうジャンルやキーワードを見つけ、打ち出すことで、CVRを大幅に伸ばせると考えています。

MZ:効果検証に基づいた展開だからこそ、発展が期待できますね。最後に、広告運用の最適化に取り組みたい企業へのアドバイスをうかがえますか?

福﨑氏:一連の取り組みで私が最も「やってよかった」と思っているのは、一人ひとりの顧客を追うことです。当社の規模でも、最初に私がLTVを検証して仕組みをつくるのに丸1か月かかりましたが、その分たくさんのアイディアが得られました。顧客の理解にしっかりと取り組むことで、細かい改善ではなく数倍のリターンを得られる施策を考えられると思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/12/16 20:15 https://markezine.jp/article/detail/23500