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【特集】事業フェーズ×組織規模で見る「BtoBマーケティング」

つまずきポイントを知って成果につなげる ABMのベストプラクティス

 BtoBマーケティングや営業の効率を大きく改善し、収益最大化を目指すことができる手法として注目されている「ABM(Account Based Marketing)」。世界ではスタンダードな手法だが、日本での推進には多くの壁が存在するという。これまで様々な事業フェーズ×組織規模の企業のABM導入を支援してきたユーザベースの田口槙吾氏に、BtoBマーケティングを成功に導くABMのベストプラクティスと推進のポイントをうかがった。

※本記事は、2023年9月刊行の『MarkeZine』(雑誌)93号に掲載したものです

ターゲティングの意識が希薄なBtoBマーケティング

──そもそもABMとはどのような手法なのでしょうか。

 ABMとは、ターゲット企業を特定した上で、営業とマーケティングが連携しながら収益を最大化するマーケティング手法です。従来のBtoBビジネスではLBM(Lead Based Marketing)が一般的な手法として取り入れられていました。LBMはターゲット企業を特定せず、マーケティング部門が主導してリード数の最大化を目指す手法です。

株式会社ユーザベース FORCAS事業 執行役員CEO 田口槙吾(たぐち・しんご)氏 2016年にユーザベースへ入社。「SPEEDA」のセールマネージャーを経て、営業DXソリューション「FORCAS」の立ち上げに参画。同事業のCROを務めたのち、2021年より現職。
株式会社ユーザベース FORCAS事業 執行役員CEO 田口槙吾(たぐち・しんご)氏
2016年にユーザベースへ入社。「SPEEDA」のセールマネージャーを経て、営業DXソリューション「FORCAS」の立ち上げに参画。同事業のCROを務めたのち、2021年より現職。

 想定顧客の絞り込みが当たり前に行われているBtoCマーケティングと比べて、BtoBマーケティングにおいてはターゲティングの意識が希薄だと感じます。要因として考え得るのは、情報の不足です。テクノロジーが浸透する以前は、多くのBtoB企業でデータベースが整っていませんでした。そのため「数を撃てば当たる」の精神でLBMが取り入れられてきたのかもしれません。最近はMAツールの台頭でデータベースが整備されつつあり、ターゲティングができる環境になっています。

──ABMのほうがLBMよりも優れているということでしょうか。

 LBMの進化形がABMです。どちらが優れているという話ではありませんが、せっかくデータベースが整っているのに、ターゲットを特定せずリードの数を追い求める姿勢は時代遅れだと感じます。BtoBマーケティング先進国のアメリカでは、2019年時点で既に94%のマーケターが「ABMに取り組んでいる」と回答したそうです(出典:Top Rank Marketing)。

──日本におけるABMの浸透度合いが気になります。

 正確に把握しているわけではありませんが、ABMを完全に実行できている企業は極めて少ない印象です。スタートアップでわずかに見受けられる程度、大手企業ではほとんど進んでいないのではないでしょうか。

 ABMを実行するとなると「どの企業のどのような部門に、どの商品のどのような価値を届けるのか」を営業とマーケティングで具体的に合意する必要が生じます。大手企業では組織が縦割りになっている場合が多く、営業とマーケティングがうまく連携できないこともABMの難易度を上げている要因の一つです。

 一方のスタートアップでは、部署単位ではなくワンチームかつトップダウンでマーケティングに取り組むケースが多く、営業・マーケティング・カスタマーサクセスを横断的に見るCRO(Chief Revenue Officer)のような存在も機能するため、合意形成を進めやすい環境と言えます。

──CROの役割についてもう少し教えてください。

 CROは事業の収益に関する全ての責任を負うポジションです。CMO(Chief Marketing Officer)は担当領域が決まっていますが、CROは一つの機能に特化することがありません。セールスからマーケティング、組織戦略まで、事業の収益性を担保・改善するためならあらゆる可能性を検討します。

──ABMの実行にはCROの存在が不可欠なのでしょうか。

 CROという呼称はともかく、営業とマーケティングの両業務を理解した上で意思決定できる人は必要だと思います。

 たとえばマーケティング部門がリード数を最大化する目的で展示会に出展し、1,000件のリードを獲得して目標を達成できたとします。しかし、その1,000件の中に営業部門がアプローチしたいと思えるリードはどの程度含まれているでしょうか。本来は営業が売上をつくるための種をマーケティング部門で蒔くはずが、分断されてしまっているわけです。このような事態を防ぐためにも、営業とマーケティングの両方を、責任を持って見られる人が必要だと思います。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/09/20 09:30 https://markezine.jp/article/detail/43527

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