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『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

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【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング

逆境から変革を成し遂げた富士フイルムグループ、パーパスを原動力にしたさらなる進化に向けて

 写真フィルムから事業を大きく広げ、近年は医療機器やビジネスソリューション、化粧品と様々な分野で製品・サービスを展開している富士フイルムグループ。多角的に事業活動を行う同社が、さらなる成長のために再定義が必要だと考えたのが「パーパス」だ。経営戦略としてのグループパーパス策定について、同社のブランドマネジメントを管掌する堀切和久氏に聞いた。

※本記事は、2024年4月刊行の『MarkeZine』(雑誌)100号に掲載したものです

【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング

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─ 逆境から変革を成し遂げた富士フイルムグループ、パーパスを原動力にしたさらなる進化に向けて(本記事)
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創業90周年の富士フイルムグループが掲げたパーパス

──デジタル化にともない写真フィルムの需要が急速に減少したことを発端に、富士フイルムグループは2000年頃から事業の多角化を推進。成長が顕著な「ヘルスケア」「マテリアルズ(高機能材料)」の事業領域への投資を強化するとともに、「ビジネスイノベーション」「イメージング」領域においてもグローバルでビジネスを拡大し、2023年度は過去最高の売上を更新する見込みです。

 2024年に創業90周年を迎えたことを契機に、富士フイルムグループのパーパス「地球上の笑顔の回数を増やしていく。」も発表されています。まずは、グループパーパス策定の背景からお聞かせいただけますか。

 事業領域が広がる中で、富士フイルムブランドの一貫性を保つために、数年前「ブランドガイドライン」を作りました。それ以降、社内外と“富士フイルムらしさ”を共有するためには、やはり「グループ共通のパーパスが必要なのではないか」という議論が持ち上がるようになりました。

 ただパーパスを作るということは、言ってみればパンドラの箱を開けるようなものです。「会社の存在意義は何か」を自問自答し、パーパスを言語化・共有することからはじまり、従業員の皆さんの納得感を得ながら、パーパスを各事業や現場に実装していくなど、その浸透や実践には膨大な労力が伴います。

 そして、既に企業理念やミッションを掲げている中で「本当にパーパスは必要なのか」という議論も重ねた上で、創立90周年を間近に控えたとき、その先の未来を視野に入れ「今こそやるべきだろう」とその策定に踏み切った形です。多様な事業領域を持つ富士フイルムグループとして、従業員73,000人が共通して目指せる「フラッグ(旗印)」が必要とも考えました。従業員の共感を得ながらパーパスを作っていきたいという思いから、多種多様な従業員で構成されたプロジェクトチームを作りました。

富士フイルム株式会社 執行役員 デザインセンター長 堀切和久(ほりきり・かずひさ)氏 1985年に富士写真フイルム(当時)に入社。デザインセンターにて初代チェキのデザインなどを手掛ける。デザインセンター長就任後「富士フイルムをデザインする」を掲げ、2018年にはデザイナーとして初めて執行役員に就任。2022年に富士フイルムホールディングスにデザイン戦略室を新設。富士フイルムグループ全体のデザインおよびブランドマネジメントを管掌する。
富士フイルム株式会社 執行役員 デザインセンター長 堀切和久(ほりきり・かずひさ)氏
1985年に富士写真フイルム(当時)に入社。デザインセンターにて初代チェキのデザインなどを手掛ける。デザインセンター長就任後「富士フイルムをデザインする」を掲げ、2018年にはデザイナーとして初めて執行役員に就任。2022年に富士フイルムホールディングスにデザイン戦略室を新設。富士フイルムグループ全体のデザインおよびブランドマネジメントを管掌する。

──プロジェクトチームを中心に、どのようなプロセスを経てパーパスを策定されましたか?

 グループ会社も含め、世界中の従業員にじっくり時間をかけて、「富士フイルムグループの強み・DNA・今後進むべき方向性」についてインタビューしました。すると、大きく3つのキーワードが浮かび上がってきたんですね。

 1つ目は「変革」という要素。富士フイルムグループは2000年頃の創業喪失の危機をくぐり抜けた、変革を成し遂げてきたと自負する従業員が多くいました。その私たちの変革を後押ししたのが、2つ目の要素である「技術」です。写真事業で培った技術を医療や化粧品など様々な分野に活かす形で、会社を変革させることができたのです。

 そうしたヒストリーやDNAを踏まえた上で、多くの従業員から出てきた言葉が、3つ目の「笑顔」でした。写真事業を通して大切にしてきたのは人々の笑顔で、今まで製品やサービスを通して多くの人たちの笑顔を生み出してきました。その思いを再発見し、輪郭をクリアにしたのが今回の「地球上の笑顔の回数を増やしていく」というパーパスです。

 迷うことなく満場一致でこの言葉に決まりました。決して理想を掲げ未来だけを見るだけでなく、また過去を振り返るだけでなく、ずっと大切にしてきたものの延長に笑顔の未来はあるのだと考えました。その意味でも富士フイルムらしいパーパスになったと思います。

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経営戦略の中心にパーパスがある

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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2024/05/09 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45474

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